2013年04月28日

ベッドタウンと観光都市の両刀を目指す桑名市

 三重県桑名市は人口140,796人(2012年11月1日)、面積136.61k㎡、名古屋から約20キロの場所に位置する。特産品としては桑名のハマグリ、かぶらせんべい、安永餅がある。中でもハマグリはマンホールに描かれており、市のマスコットキャラクターである“ゆめはまちゃん”のデザインのもとにもなっている。観光地としては、ナガシマスパーランドなばなの里、国の重要文化財にも指定されている六華苑などがあり、三重県屈指の観光都市であるが、5年ほど前から名古屋のベッドタウンとして注目されている。


 もともと桑名駅から名古屋駅まで、JRか近鉄で30分足らずで行くことができていたが、通勤の時間ではなかなか座ることができず、少し外れた住宅街からはバスで桑名駅まで行き、電車に乗り遅れるということも多々あった。ベッドタウンとして注目されてからは、陽だまりの丘、星見が丘といった新しい住宅街から、必ず座れる高速バスで名古屋駅まで行けるようになった。栄行きの高速バスまで出るようになり、通勤の時間が短縮され、名古屋の大学へ行く学生も増えた。現に筆者の姉も高速バスで名古屋の大学へ通っている。今では桑名の中学校でこれらの公共交通機関を利用し、グループに分かれて自分たちで行きたいところへ行き、社会を知るための名古屋分散学習も行われていると聞く。


 公共交通機関も発達し、便利になったが、ベッドタウンとなったことでいくつかの問題も生じている。1つ目は新しい住宅街でのみ急激に子どもが増加していることだ。その地区の小学校が子どもで溢れかえり、教室が足りないといった事態が起きている。大山田東小学校では、急ピッチでプレハブが作られたが、空調設備がしっかりしていない、壁が薄く、となりの教室からの声が聞こえるなどの問題もある。また、陽だまりの丘については、大山田東小学校まで歩いて30分以上かかる場所があり、子どもも増えたことから、陽だまりの丘小学校を建設すると言われており、土地まで確保してあったが、それが突如中止になった。新しく近くに小学校ができるということで、陽だまりの丘へ引っ越してきた人と、市との間で揉め事も起きている。

 2つ目の問題は住宅地の開発による森林の減少だ。もともと桑名市は山に囲まれており、新しい住宅地は山を切り崩してつくられた。2011年7月には山を開拓したことが原因で、豪雨のときに、小規模ではあるが土砂崩れも起きている。子どもが木に止まっているセミを捕まえたりするというような自然と触れ合う機会も減っている。子どもたちを危険から守り、自然に興味をもってもらうという理由から、ボランティアで植林を行っている地域もあり、人々の関心も高まっている。しかし、一部の地域の人が行う植林だけでは、問題を解決するには至っていない。

 だが悪いことばかりではない。公共交通機関が発達し、名古屋へ行きやすくなったということは、県外からの観光客も桑名へ来やすくなったということだ。現に、ナガシマスパーランドを例にあげると、不景気ににもかかわらず、去年の夏は1日の入場者が40000人を超え、入場規制がかかる日もあるなど年々来場者が増加している。人が増えたこと、観光客が増えたことから、経済がよくなる。


今はまだ、問題も多いが、小学生の増加については新たな小学校の建設、森林の減少については、市全体での植林の取り組み、土砂崩れ対策の防護壁を設置することで解決でき、市自体も動き出している。これからは、地域の人々が住みやすいベッドタウンになり、観光地としてももっと有名になることが期待される。


ハマグリの書かれたマンホール


名古屋へ行く高速バス


陽だまりの丘の住宅街



より大きな地図で 山から住宅街へ を表示



昭和57年には山だったが、平成21年にはすでに住宅街になっている。公園やスーパーなどもできて暮らしやすくなり、名古屋のベッドタウンとしての役割も十分に果たしている。
  


Posted by サイクロンZ at 16:07Comments(0)